潮騒の子守り歌-[conparuの白い航跡]

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zoom RSS 潮騒の子守唄

<<   作成日時 : 2006/11/19 03:26   >>

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潮騒

寄せては返る波の営みが

生きている証だと

砂浜に囁いている

小さな貝のかけらも

色とりどりの小石のさまも

揺らめきの中でときめいている

かすんだ記憶の岸辺に

そっと耳を寄せて

潮騒の音を聞いてみよう





  運河

パナマ運河のドックを順次クリアすると、本船は細い水路地帯に入った。ゆっくりと東進する水路の両岸には熱帯樹林が連なっている。
甲板員の藤島護は、猿か鳥でもいないかと耳を澄ませ目を凝らしたが、生き物らしい姿は何処にも認めることはできなかった。
水路はどこまでも深閑として、船体の押しだす波状の起伏だけが、連綿と後方の岸辺に派生してゆくのだった。

間隔をおきながらエンジンを弱進させると、水を掻きわけるスクリューが、ぼこっぼこっと鈍重な回転音とともに渦紋を巻きあげるのだった。
大きな船体が押し出すV字形の波形を、藤島はじっと目で追っていたが、波形が水面を横切り岸にたどり着くと我に返った。。

単調なワッチの見張り番であるから、運河の景観が滑るように目の前から遠ざかり、時間の移ろいゆくさまを見ていると、途方もない世界に取り残されたような感覚に捕らわれる。
やがて船は長い運河を抜け、視界がパッと開けて、何処までも鏡面のような広大な湖の中に居た。

藤島護は茫洋とした湖水の行く手を見つめている。太平洋の潮垢にまみれた船体が、ガツン湖の淡水で洗い清められる洗礼を受けながら、大西洋の新たな海流で揉まれるであろう未知の航海を思いやっていた。

カリブ海に面したパナマ運河の東端に出ると、各国の商船や軍艦が錨を降ろして出港の順番を待っている。
ブリッジのマストには行き先地の国旗が翻って、それぞれの出港を待ち焦がれていた。遠望する市街の家々から、シュロの葉が揺れているのが見える。

出航許可の手続きが済むのを待ちながら、藤島は今来た運河の光景を思い浮かべていた。
―両岸からワイヤーを張ったウィンチケーブルに牽引されて、一段ごとにドックを上り詰めて、高地にあるガツン湖の水位まで辿りついた。
そこからは自力航行で広い湖を渡り、再び運河ドックを降りて大西洋の海面上に戻ってきたのである。
あたかも人生の過程の如く、運河の通程を振り返ってみると、自分のこれまでの人生と重なって、藤島の胸を熱くするのだった。























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